知能観

 知能観とは、能力は不変なのか、それとも変化するものなのかという信念のことをいいます。
 知能などの能力は生まれつきで努力しても変化しないと信じているならば、その人は諦めも早くやる気をみせないことでしょう。
 それに対して能力はやる気しだいで伸ばすことができると信じている子どもは頑張る可能性が高くなります。このように、能力をどのようなものととらえているかという信念は動機づけに影響を及ぼします。

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能力観の発達

 子どもと大人では、努力と能力の関係の捉え方が異なっているといいます。
J.G.ニコルズは、努力と能力に関する子どもの概念は未分化で、年齢とともに両概念が分化していくと主張しました。能力観の発達は以下の4段階に区介できるといいます。

努力=能力(3~5歳)

 この段階では「努力する人が頭のよい人だ」と考えます。

努力は結果の原因である(6~8歳)

 この段階では「能力にかかわらず、同じだけ努力すれば同じ成果が得られるはずだ」と考えます。

努力と能力が部分的に分化(9~10歳)

 この段階では「努力だけが結果を引き起こす原因ではない」「能力は人によって違うから、同じだけ努力しても同じ成果が得られるわけではない」と考えます。

能力とはキャパシティ(capacity)のことである

 この段階では「成果に対する努力の影響は能力によって制限されている」「もし成果が同じであるなら、努力が少なかった人ほど能力が高い」と考えます。

能力観の使い分け

 ただし、大人はキャパシティ概念だけでなく、「努力=能力」のような未分化な能力観も持っていて、状況によって使い分けるのだといいます。
 熟達を目標としている場合(習得目標に該当)、未分化な能力観が用いられるのに対し他者との比較による能力詳価に関心が向けられていると、キャパシティ概念が用いられます。

実体理論と増大理論

 C.ドゥエックは、個人が暗黙にもっている知能に関する信念(知能観)を以下の二つに大別しました。

  • 実体理論:知能は固定的で変わらないという考え方
  • 増大理論:知能は高めることが可能であるという考え方

 知能観は自分の行為や成果について解釈したり詳価したりする基準になります。
 実体理論をもつ人は成績目標(自分の能力に関する肯定的な評価を得ることが目標)を持ちます。
 つまり、彼らは能力が変化しないと考えているので、自分の行為の成果が他者と比較してどのように評価されるか、そしていかに他者をしのぐかに関心を向けるのです。
 そして、自分の能力を高く評価している場合には熟達志向型の行動パターン(挑戦を求め行動が持続する)を示します。しかし、自分の能力を低く評価していると無力感型の行動パターン(挑戦を避けて行動は持続しない)を示すことになります。
 それに対して、増大理論をもつ人は学習目標(能力を高めることが目標)を持ちます。つまり、自らの能力を向上させようと努力し、他者との比較ではなく自己改善しているかという基準によって行為の成果を評価します。この場合、能力の自己評価の高低にかかわらず熟達志向型の行動パターンを示すのだといいます。

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