D.W.ウィニコット (Donald Woods Winnicott)

 D.W.ウィニコットは、英国の小児科医であると共に精神分析家です。
 多くの乳児と母親を観察し、母と子の一対こそが基本単位であると考え、独立した赤ん坊は存在しないと述べました。
 乳児の発達に「母親によるほどよいホールディング環境」を必須の要件をする発達理論を展開しました。
 特に早期乳児期の離乳期前後の発達過程(クラインの発達論における妄想―分裂態勢から抑うつ態勢に移行する段階時期を移行期)についての理論を展開しました。

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移行期

 およそ4カ月~2歳頃です。乳児がシーツやタオルなどの柔らかなものを掴んだりしゃぶったりして弄ぶ行動が見られる時期です。こうした行動の示す成長の過程を移行現象といいます。
 また、幼い子どもが肌身離さず持ち歩く毛布、やわらかい布きれ、人形、ぬいぐるみなど移行対象といわれます。移行対象は、「自分でない」所有物であり、母子合体の対象です。この対象のおかげで、乳児は母親との分離に突然直面しなくてもすみます。母子の分離の中間領域であり、一種の錯覚です。
 移行対象の成立には、乳幼児の必要に応えてくれる母親の在り方が必要です。つまり、「ほどよい母親」が不可欠なのです。ほどよい母親は、乳幼児の全能感に応え、それにある程度の現実的意味を与えてくれます。これを脱錯覚といいます。
 乳幼児は、内的世界における何でも満たしてくれる空想上の母親をあきらめ、外的世界にある現実の母親を受け入れられるようになる為、内的世界と外的世界とが共有している中間領域の世界で満足と不満足になります。
 内的世界と外的世界の移行が上手くいかなかった場合は、「本当の自己」は人格の奥深くにしまいこまれてしまいます。その結果、外的世界に適応するための防衛的な「偽りの自己」が表面に出ることになります。
 中間領域の世界は、幼児の「遊び」の領域へと直結し、そして後に創造活動に繋がる文化領域の諸要素となります。

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