C.ビューラー (Charlotte Buhler)

 オーストリアの発達心理学者です。
 発達心理学としては、Z.ヘッツァーと共同で乳幼児の精神発達検査を開発しました。
 青年心理学者としてはE.シュプランガーとならぶドイツ語圏における巨匠というべき存在です。

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日記資料による青年研究

 青年心理学研究に用いられるデータは、G.S.ホール以来質問紙によるものが多用されていました。質問紙調査法は一度に多量のデータ資料を得やすいという利点があります。その反面、研究者の用意した項目に対して解答を求めるというやり方をとるところから、限られた情報ものしか得られないという欠点があります。そのため、青年心理の奥深くに潜む、より本質的なものに迫るのは困難でした。
 日記資料による研究法をはじめて本格的に導入したのがビューラーです。日記は青年研究にとってはきわめて貴重な資料となります。なぜなら、日記は青年自身がだれに見せようという明確な意図もなく自発的に綴ったものだからです。
 また、日記は単に青年研究の資料にとどまりません。
 日記をつける行為そのものが、顕著な青年期的現象であると考えられます。児童期にある子どもは、宿題で課せられるような場合は別として、自分から日記をつけるということはまずありません。
 ところが青年期の始まりである13、14歳頃になると、自発的に日記をつけ始める者が出てきます。
 ビューラーの資料によると、日記をつけている青年期の人間は、平均して女子は14歳頃、男子は15頃からつけ始めているといいます。ところが、青年期に日記をつけるという習慣をもっていた人の多くが、青年期を過ぎるとその習慣を失ってしまします。このことから、日記をつけるという行動は青年期的現象の1つだといってもよいとされます。
 ビューラーは自ら集めた多数の日記資料を組織的に分析しました。その結果「日記は何よりも一般的省察、つまり迫ってくる諸問題の克服に役立つ」とみている。つまり、青年期の人間にとって、日記をつけることが自己自身の内面を安定させる作用があるというのです。日記に書くことで自分自身の活動を客観的に評価し、それを通して様々な精神状態を乗り越えていくことが可能とします。こうしたことから、日記をつける行為そのものが、青年の自己形成の過程の重要な一面をなしているともいえます。

否定期と肯定期

 ビューラーは青年期を否定的傾向の強い前期と、肯定的傾向の強い後期の2つにわけてとらえました。そして、前者を思春期、後者を青春期と呼びました。
 否定の時期は思春期の前にすでに始まります。身体面での成熟が急速に進んでいくのにともなって、不機嫌、落ち着きのなさ、不安、深いが生じます。感受性と興奮性は過度に高まり、ために周囲の人々に対して粗野で乱暴な抵抗的態度が現れます。しかも彼らはそのことを自分でもなかば自覚し、自分が不格好であることを感じています。それだけに彼らは、しばしば自分自身に対して一種の嫌悪感、憎しみを抱きます。またそういう内面の苦しみを理解しようとしない周囲の者に対する敵意をもつことになります。
 しかし、成熟が進み、身体状態が変わっていくと、青年の態度が少しずつ変化します。成長しつつある者としての不安は依然みられるものの、それはもはや手のつけられない苦しみではなくなるのです。およそ17歳頃を境として、否定的傾向はしだいに影を潜め、代わって肯定的傾向が出現するようになります。

反抗記

 反抗とは、対人関係において、下位におかれている者が、上位に置かれている者の命令や強制に対して服従することを拒む行動をいいます。
 人間の発達過程において、このような否定的な行動が顕著に現れる時期が存在し、反抗期と呼ばれます。
 ビューラーは反抗期は2~4歳の児童期と13~14歳頃の思春期の2つの時期があるとしました。自童期は両親への愛情の結びつきによって支配されます。一方で思春期は両親の理想から解放される時期で、両親の希望や目標に対して否定的な態度をもつ時期です。
 一般的に反抗期には、第一反抗期と二次反抗期があるとされています。
 第一反抗期はとは2~4歳頃に起こる、親への反抗的な態度を表出する時期のことです。この時期の反抗は親への依存を基盤とした中で生じる自立の試みで、後のパーソナリティ形成に大きな影響を及ぼします。
 この時期の子どもは、運動能力や知的能力は急速に発達し、行動範囲が拡大、同年代の友人とも交渉をもつようになります。そしてまわりのことに関心をもつようになり、自分でも何でもやってみたいという意識が強くなります。それまで親に対して従順だった子どもが、親に対して抗議したり、拒否したり、また激しい感情を表したりするようになります。
 第二反抗期とは、青年期前期頃(12~15歳頃)に入って、親や年長者との間で葛藤が生じやすくなる時期です。この時期の青年は自己に関心を強く向けるようになります。そして自己の独自性、自立性の欲求が高まり、自分の行動を自分自身で決定したいと考えるようになります。しかし、それと同時に、自立への不安も生じます。このような心理的に自立する過程で反抗が生じるのです。
 また、このときの反抗は、親に対してだけではなく、教師、年長者、社会的権威や制度に対しても現れます。しかし、青年はそのきびしい目を自分自身にも向けるようになります。大人に対する一方的な非難を脱し、自分自身についても見つめる目をもつようになるのです。第二反抗期は真の自己を確立するための重要な時期であるとされています。

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