J.ボウルビィ (John Bowlby)

 英国のイギリスの医師、精神分析家です。
 乳幼児が母親またはそれに代わる養育者から母性的な養育を受けられなくなる母性剥奪に関する研究を行いました。
 また、その研究から発展して、乳幼児の直接観察を通して乳児が母親に抱く愛着についても研究しました。ボウルビィは愛着が本能的、適応的行動であるとしました。そして、比較行動学の生得的行動パターンの考えやピアジェの理論およびシステム理論を取り入れて、乳幼児の初期の発達を理論化しました。

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母性剥奪(マターナル・デプリベーション) (maternal deprivation)

 良好な母子関係の喪失や剥奪をいいます。
 ボウルビィは、母親(あるいはその子の母親役を担う養育者)と乳児の間の密接な関係が持続的に維持されることが精神衛生の基本であると考えました。そのため、母親の喪失は乳幼児のその後の心身の発達に深刻な悪影響を及ぼします。
 母性剥奪の危険であり、子どもにとっての心の絆が重要です。例えば、20世紀初頭、乳児院や孤児院の子どもの死亡率や病気にかかる割合の高さが報告されました。これに対して、医学的措置が取られましたが芳しい効果は上がりませんでした。しかし、一部の施設で個人的な接触や愛撫などの看護方法をとったところ死亡率は減少しました。

愛着(アタッチメント) (attachment)

 人もしくは動物が、ほかの特定の個体や集合体に対して形成する情愛の絆をいいます。
 とくに乳幼児と母親の情緒的結びつきについて用いる場合が多いです。愛着の概念は、人間の持つ自然な要求の一つとして、未熟さの意味合いが強い依存とは区別されます。
 ボウルビィは乳児の愛着行動として、吸う、微笑む、しがみつく、泣く、後を追うなどを挙げています。乳児は母親(養護者)との接触を求める生物的な特徴を持って誕生し、母親(養育者)との相互作用を通して愛着が形成されていきます。

ストレンジ・シチュエーション法

 ボウルビィの共同研究者の一人であるM.エインズワースが考案した、生後12~18カ月における子どもの愛着の安定性を評価する実験室用の手続きをいいます。
 子どもは母親が退室し、再び戻ってくるときの一連の行動について観察窓から観察する方法です。
 その手続きは以下の段階に分けられます。
①赤ちゃんが実験的に仮設された部屋に入る。母親は赤ちゃんをおもちゃが並べられた床に置き、部屋の反対側に離れて座る。
②見知らぬ女性が部屋に入ってきて、1分静かに座る。そして1分間母親と会話する。その後その女性は赤ちゃんとおもちゃ遊びを試みる。
③母親は不意に部屋から出ていく。赤ちゃんが泣かないなら見知らぬ女性は再び静かに座り直す。もし気が動転して泣いたら、あやしてなだめるようにする。
④母親が部屋に戻ってきて赤ちゃんと遊ぶ。その間に見知らぬ女性は退室する。
⑤母親は再び退室する。この時点で赤ちゃんは一人で部屋に取り残されることになる。
⑥見知らぬ女性が再び戻ってくる。もし赤ちゃんが動転しているなら、あやしてなだめるようにする。
⑦母親が再び部屋に入り、見知らぬ女性は退室する。
 この手続きから、子どもの愛着は以下のものに分類されるとしました。

安定愛着型 (securely attached)

 母親の退室に動転するから否かに関わらず(出来事③と⑤)、母親が戻ってくると母親の相互作用を求める乳児をいいます。
 ある子は、おもちゃで遊びながら、単に離れたところから母親が戻ってきたことがわかると満足しました。または、他の子どもたちは身体的な接触を求めました。
 手続き全体において、まったく母親から離れられず、母親が出ていこうとする激しい苦痛を示した子もいました。

不安定愛着型:回避型 (insecure attached: avoidant)

 この類型に入る乳児はは、再開場面において母親に対し相互作用することを明らかに回避します。
 母親をほとんどまったく無視する子もいます。また相互作用しようという試みとそれを回避しようとする試みとの混合を示す乳児もいました。
 回避する赤ちゃんは、母親が部屋にしてもほとんど母親に注意を払うことはなく、母親が出ていこうとしても、苦痛を感じているようには見えませんでした。
 仮に苦痛を示しても、母親と同様、容易に見知らぬ女性によってなだめることができました。

不安定愛着型:両価型 (insecure attached: ambivalent)

 再開場面において母親に対し抵抗を示した乳児は、両面型として分類されます。
 この子どもたちは身体接触を求めることと抵抗とを同時に示しました。たとえば、抱き上げようとするときに泣きだし、おろそうとすると怒ってしがみくなどです。
 活動はとても受動的で、母親が戻ってくると母親を求めて泣きだします。母親のもとへ、ハイハイして近づこうとしない。そのため母親が近づくと、抵抗を示します。

無秩序型 (disorganized)

 この類型の乳児はしばしば矛盾した行動を示します。
 たとえば、世話をしている母親に近づくことはあるが、母親に目を向けようとしないなどです。
 また近づいたとしても次に茫然と回避したり、静かにしていたかと思うと突然泣き出したりします。
 注意力にかけ、情緒面に欠陥が見られ抑うつ症状を示す子もいました。

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