動機づけ

 動機づけとは、人間の行為が起こり、それが維持・方向づけられていくプロセスのことをいいます。
 心理学では、この動機付けついて2種類に大別する場合が多いです。
 例えば、ポスターの宿題のために絵を描くなど「手段」として活動に取り組んでいるような心理現象を総称して外発的動機づけといいます。
 それに対して、絵を描くことそのものに楽しみや喜びを見出している場合のように、ある活動そのものが「目的」であるような心理現象を内発的動機づけといいます。

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外発的動機づけ(extrinsic motivation)

 外発的動機づけは、賞罰に基づく意欲である動機付けのことです。
 例えば、

  • ご褒美を目当てに頑張る
  • しかられるのがイヤだからやる

 といったことが外発的動機づけです。
 元々、外発的動機づけとは生理的欲求やそこから生じた派生的欲求を満たすために学習が生じるとした新行動主義の流れを汲む動機づけの考え方でした。
 心理学者C.L.ハルは、生命維持のための食欲など生理的欲求が満たされないことによる不快な緊張状態を低減するために行為が起こるという動因低減説を唱えました。そのうえで、生理的欲求を満たすことと関連する事柄(例えば金銭)に対する欲求が後天的に獲得されるとしました。
 この考え方によれば、生理的欲求や派生的欲求を満たすために、動因を低減するような報酬を求めたり、動因を高めるような罰を避けたりするための手段としてわれわれは行動するのだということになります。

内発的動機づけ(intrinsic motivation)

 外発的動機づけでは説明できない部分が動機付けには存在します。人間は生理的欲求や派生的欲求のみによって動機づけられているわけではありません。
 例えば、心理学者H.F.ハーロウは、生理的欲求が満たされているにもかかわらず、サルが熱中してパズルを解くことを引き合いに出し報酬を目的としない動機づけが存在すると主張しました。
 また、R.W.ホワイトは、生理的欲求とは無関係に環境と効果的に関わることによって得られる効力感の充足を目的としたイフェクタンス動機づけという概念を提唱しました。
 さらに人格心理学の領域でも、A.H.マズローが基本的欲求の欠乏によってではなく、自己実現の欲求に基づく成長動機づけの存在を強調した。
 以上のような研究動向によって、外的動機づけとは質が異なる包括的な概念として内発的動機づけが主張されるようになりました。

オリジン―ポーン理論

「内発-外発」の区別に関連して、R.ドシャームは自己原因性いう概念を提唱しました。
 これは、自らの意志に基づいて振る舞っている(自らが行為の原因であると感じている)心理状態を「オリジン」、外的な環境(他者や社会的条件など)に強いられて行為している(自介の行為の原因が自分の外にあると感じている)状態を「ポーン」とよび、前者を内発的動機づけ、後者を外発的動機づけと位置づけました。
 以後、従来から主張されている熟達指向性認識を深めたり技能を高めたりする生得的な発達の方向性に加えて、自律性(外的に強いられているのではなく, 自ら進んで取り組んでいるという心理状態)が内発的動機づけの特徴として強調されるようになりました。

内発的動機づけの教育的意義

 内発的動機づけは、主体的な学習の本質的特徴として教育心理学の重要概念の1つとされてきました。
 認知的な発達過程の背後にある生得的な動機づけが内発的動機づけであり、環境と個体との動的な相互作用によってそれが機能するという点が明らかになったのです。
 一方、「内発―外発」の区別は人の複雑な意欲のあり方を単純化しすぎているという指摘もあります。
 近年では、両概念を包括的にとらえ直し、外的動機づけを自律性の程度によって区介する考え方がされるようになってきています。

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